トランプ米大統領が南米公式訪問をキャンセル シリア化学兵器疑惑で
米ホワイトハウスは10日、ドナルド・トランプ米大統領が今週末から予定していた南米ペルーとコロンビアの公式訪問を中止したと発表した。シリア反政府勢力の支配地域への攻撃に化学兵器が使用された疑惑をめぐる対応に注力するためだという。
ホワイトハウスは、トランプ大統領は「シリアに対する米国の対応を監督する」ためワシントンにとどまると述べた。
一方、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は同日、米国に軍事行動の回避を求め、「現在進められている計画を控えるよう、あらためて懇願したい」と語った。
ネベンジャ大使は、米国がもし「不法な軍事的冒険」をすれば、「その責任を負う」ことになると述べた。
西側諸国の指導者らは、今回の化学兵器攻撃疑惑の責任を追及することで合意している。
化学兵器禁止機関(OPCW)は同日、化学兵器による攻撃が疑われているシリア・東グータ地区のドゥーマに調査チームを「間もなく」派遣すると発表した。
シリアと同国を後押しするロシアは調査団の受け入れを表明している。シリア政府は化学兵器攻撃への関与を否定している。
同日開かれた国連安全保障理事会では、真相究明と責任追及のため新たに調査機関を設置するという米国の提案に、ロシアは大方の予想通り、拒否権を行使。中国は棄権した。ロシアは昨年11月、同様の調査機関の任期延長案に拒否権を行使している。
ロシアが出した対案についても十分な支持は得られなかった。
トランプ大統領の南米公式訪問は、マイク・ペンス副大統領が代行する。ペンス副大統領はペルーで13、14日に開かれる米州首脳会議に出席する。
軍事攻撃はあるのか
トランプ大統領は「強力な」対応を約束しており、複数の軍事的選択肢について触れている。ジェイムズ・マティス国防長官も今週予定していた西部州の訪問をキャンセルした。
昨年4月にシリアで反政府勢力が支配する町で神経剤サリンが使用され、80人以上が死亡した際は、トランプ大統領はシリア軍の空軍基地への攻撃を命令。地中海東部に展開する米駆逐艦から巡航ミサイル数十発が発射された。
米国がバッシャール・アサド大統領率いるシリア政権軍を直接攻撃したのは初めてだった。
今月7日にドゥーマで化学兵器が使用された疑惑が生じて以来、米政府は英国やフランスと対応をめぐって協議を続けており、西側諸国による共同軍事行動の憶測が出ている。
地中海では現在、米駆逐艦「ドナルド・クック」が展開している。
ワシントンで取材するBBCのバーバラ・プレット=アッシャー特派員は、トランプ氏が南米訪問を中止したことは、米国の対応が限定的な攻撃でなく、より大規模な軍事作戦である可能性を示唆していると語った。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、もし軍事行動があった場合、「政権の化学兵器の攻撃能力」を標的にし、政権と同盟を結ぶロシアやイランの軍隊は攻撃しないと語った。パリで開かれた記者会見でマクロン大統領は、「激化するのは望んでいない」とし、対応策について近く決定が行われると述べた。
マクロン大統領は、フランスが把握している情報に基づけば、「化学兵器が実際に使われ、(アサド)政権に責任があるのは明白」と付け加えた。
米国とフランスは、攻撃についての判断の根拠となった証拠を明らかにしていない。
化学兵器による攻撃を受けたとされる地域に入ることはできず、死者の数や何が実際起きたのかについて確認はできていない。
英国のテリーザ・メイ首相は10日にトランプ、マクロン両大統領と、個別に電話会談を行った。
ホワイトハウスは、メイ首相とトランプ大統領が、アサド大統領の「卑劣な人命軽視」を激しく非難し、「化学兵器の使用を許容しないことで合意した」と述べた。
ロシアは国連安保理で、米国の軍事行動が「深刻な影響」を及ぼす可能性があると警告した。
7日に何が起きたのか
シリアの反政府活動家たちや、救助隊員、救急医療関係者は、シリア政府軍が首都ダマスカス近郊の東グータ地区にあるドゥーマに、毒性のある化学物質が詰め込まれた爆弾を落としたと主張している。
米国の医療支援団体「シリア系米国人医療協会(SAMS)」によると、医療施設に運び込まれた500人以上に「化学物質にさらされたことを示す」症状があったという。

負傷者たちは、呼吸困難や血色不良、角膜炎症などの症状があり、口から泡を吹いていたり、塩素の匂いがしたりしたという。
化学兵器の疑いのある攻撃による犠牲者の数は、42人から60人以上と推計されているが、爆撃を避け地下に避難した人々の救助が進めば、死者数は増える可能性があると医療支援団体は指摘している。
国連安保理でフランス代表は、地下に流れ込む特性のために毒ガスが意図的に使用されたと述べた。















